ウィルシステムデザイン プロジェクトアーカイブ

ピンホールプラネタリウム3号機製作記録11

新恒星フィルム球

「恒星球」

光源(電球)と並んで、ピンホール式プラネタリウム投影機では重要な要素。

投影される星空の質はこの部分で決まると言っても過言ではありません。

金属ボールに細かく穴を空けたり、フィルムに転写したり、製作方法はいろいろありますが、私はフィルムを使う方法を採用しています。(穴あけ作業がなくて怪我しない&楽チンだから!)

 

で、今回はSeries3用の新しい恒星フィルム球製作をご紹介したいと思います。

実は、2号機の恒星にはいろいろと不満がありました。

 

天の川の表現がもう少しなんとかならないか?

もう少し等級差のついたメリハリのある星空にならないか?

満天の星空の中でも、もう少し星座が見やすくならないか?

 

…どれもこれも、ピンホール式では原理的に難しい問題だし、チャレンジして細かく改良したところで、それは見る人にとってどれだけ意味があるのか?ということもありますが。

基本的には2号機の恒星フィルム球をそのまま使っていても問題はないのです。

でも、やっぱり改良の誘惑には勝てなかった・・・

恒星データは位置や等級などの数値として入手できるので、そのデータを解析してOHPフィルムに星を印刷する自作プログラムを改良し、写真製版用特殊フィルムに転写。新しい恒星フィルム球を製作しました。

 

マニアックな改良その1

ドーム上の正しい位置に恒星が投影されるよう、原板印刷プログラムの位置補正アルゴリズムを改良しました。

 

マニアックな改良その2

恒星の等級をプロット印刷の直径に変換する部分は、有名なポグソンの式をベースにした独自の線形関数(というとカッコイイけど、単にいくつかの区域で分けた一次グラフ…)で処理していますが、さらに等級差をはっきりさせて星座を浮かび上がらせるために、係数や切片定数の値を見直しました。
修正量は+0.01とかなんだけど、このビミョーな修正が大きく効いてくるのです。

 

マニアックな改良その3

天の川はこれまたビミョーです。単に天の川領域(銀緯プラスマイナス何度とかいう範囲)の微光星を増やしても、なんかそれっぽく見えない。銀経によって、あるいは中心部と周辺部で、さらには北半球と南半球で見え方が違うっぽいし。かといってレンズ投影式のようなリアルな表現はできないし…

そういうモヤモヤした思考(笑)を、できるだけアルゴリズムに反映させました。

 

そんなマニアックな改良で、オリジナル恒星原板印刷ソフトウェアはバージョンアップしました。たった数十行のプログラムですが、試行錯誤の結晶、貴重な知的財産、門外不出の至宝です。(大げさ)

 

そのソフトウェアが描き出した恒星プロットイメージ(一部分)がコレ。はくちょう座付近です。

そして、実際にフィルム製作をしてSeries3で投影したのがコレ。自室の天井にあらわれた、はくちょう座です。

前回紹介したはくちょう座付近の投影画像と見比べてみてください。星座も天の川もずいぶんイイ感じになったのではないかな?

 

さあ、あとはみなさんの反響を待つのみ。もうすぐ、この新しい恒星フィルム球を装着したSeries3の運用が始まります。どうぞお楽しみに!

 

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ウィルシステムデザインは、2004年に設立した個人オフィスです。

2003年、国内ではほとんど普及していなかったプラネタリウム出張上映を始め、これまで全国で数多くの上映会やイベントを手掛けてきました。

現在は上映上映支援に加え、投影機材や関連システムの開発、上映番組やプラネタリウムアプリケーションなどの企画制作を行っています。

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