ウィルシステムデザイン プロジェクトアーカイブ

全天映像投影機製作記録1・デジタルプラネタリウムが欲しい

2004年から本格的にスタートさせたプラネタリウム出張上映。
最初は小さな天吊り型だった投影用ドームは本格的なエアドームとなり、より大規模なイベントにも対応できるようになりました。
でも、投影機の方はずっと自作ピンホール式のまま。
ピンホール式というのは、金属の半球ボウルなどに小さな星の穴を開け、中から電球で照らして、穴から漏れた光をドームに投影する方法です。
ボウルに星の穴をたくさんあけるのはしんどいので、高コントラストのネガフィルムに星の点を露光して現像し、それ球形にしてボウルの代わりに使っていました。

この自作投影機の詳しい製作の様子は、プラネタリウム製作記録にまとめてあります。ぜひご覧ください。
ピンホールプラネタリウム1号機
ピンホールプラネタリウム2号機
ピンホールプラネタリウム3号機

このピンホール式投影機、最初のころはよかったのですが、長く出張上映で使っているといろいろな不満が出てきます。

不満1:星が暗い、ぼやけてる
ピンホール投影機が映し出す星の光は非常に弱いため、明るい場所からドームに入った後5分くらいは、暗くしても何も見えません。
その時間を使って夕焼けからゆっくりと空を暗くしていくのですが、「何にも見えないんですけど」というクレームが出たりします。
やっと星が見えても、フィルムの穴を通過した豆電球の光は原理上シャープにできず、ぼやけています。
施設にある大きなプラネタリウムは、ドーム上でしっかりピントが合うようにレンズを使っているのでシャープな星を再現できるのですが、それに比べると相当見劣りします。

不満2:星以外は投影できない
星の穴を開けたフィルムを使っているので、それ以外は何も投影できません。
星座の絵や流れ星、画像などは別の手段で。
朝夕焼けや青空も再現できないので、カラーランプの調光演出で。
と工夫していましたが、やはり演出には限界があります。


そしてついに、ビデオプロジェクターを使ったモバイル用のデジタルプラネタリウムが登場しました。
昔のプロジェクターはとても高価で大きくて、とても個人が気軽に使えるものではありませんでした。
でも、小型軽量化や高性能化が進み、持ち運びできるプラネタリウム投影機としても使えるようになったのです。
プロジェクターと全天投影用の魚眼レンズで構成されたモバイルシステムは、星以外にもいろいろな映像を投影できます。
美しい朝焼けや夕焼けや月などを描写できるし、星座の線や絵も自由に投影できるし、地球を飛び出して惑星や銀河へ行ったりもできるし。
協働していた関連会社が導入したシステムを借りて使わせてもらい、すぐにその魅力にハマってしまいました。
そして、ピンホールの自作投影機の出番はあっという間に無くなっていきました。


(デジタルプラネタリウムシステムのドーム投影の様子)

自由に使えるデジタルプラネタリウムが欲しい!

日に日にその思いは強くなっていきました。
でも、問題はその値段です。とても個人が気軽に払えるような金額ではありませんでした。米国製のため、輸入の手続きも必要です。
というわけで、ピンホールの投影機を作った時と同じ「自分で使える投影機を自分で作れないか」と思うようになったのです。
ここから、試行錯誤の日々がスタートします。

 

ウィルシステムデザインについて

 

ウィルシステムデザインは、2004年に設立した個人オフィスです。

2003年、国内ではほとんど普及していなかったプラネタリウム出張上映を始め、これまで全国で数多くの上映会やイベントを手掛けてきました。

現在は上映上映支援に加え、投影機材や関連システムの開発、上映番組やプラネタリウムアプリケーションなどの企画制作を行っています。

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このブログでは、ウィルシステムデザインがこれまでに手がけてきたプロジェクトの技術情報やノウハウ等をまとめていきます。