モバイルプラネタリウム投影機のこれまで

いまウィルラボ(ウィルシステムデザインの自主企画研究室。といってもスタッフは私だけ)では、市販のビデオプロジェクターで手軽に安価にデジタルプラネタリウム投影機を構築するというプロジェクトを進めています。

今後このプロジェクトの進捗は随時アップしていこうと思っていますが、まず最初に、これまでの小型プラネタリウムの歴史やプロジェクトの背景を簡単に紹介しておきましょう。

ひと昔前まで、持ち運びができる小型プラネタリウム投影機といえば、簡単なピンホール方式が主流でした。
金属やプラスチックの球体に星の穴をあけ、中から電球で照らしてドームに投影する方法です。理科教具として販売されていたので、学校の理科室で見た人もいると思います。
この方式の投影機は、こちらのサイトで見ることができます。原理が単純で自作にチャレンジする人も多いことから、投影用電球の単体販売もされています。

株式会社五藤光学研究所 簡易式プラネタリウムのページ
http://www.goto.co.jp/planetarium/portable/

穴をあける代わりに写真製版用ネガフィルムに星を露光現像する方法もあり、私の自作投影機でもこの方法を採用していました。
こちらは、10年以上全国の出張上映で稼働した私の自作ピンホール投影機です。

20160627

「大人の科学マガジン」でも、この方式のプラネタリウム製作キットが発売されていますね。簡単な工作でたくさんの星を投影できる人気商品のようです。

これなら、直接穴を開けるよりもたくさんの細かい星を投影することができます。

ただ、ピンホール方式では、科学館のプラネタリウムで見られるようなシャープな星を投影することはできません。
もっと高品質な星空を再現するには、高精細に加工された星の原板プレートや多くのレンズが必要です。
超微細加工技術や特殊光学設計の結晶である大型プラネタリウムと同じように投影、というわけにはいかないのです。

ということで、これまで移動型の小型プラネタリウムといえば、施設のものには遠く及ばないけど、簡単に星を投影できるピンホール式を使って、というのが一般的な認識でした。
(海外の施設で「これは本当にピンホール式なのか?」と疑うほどのすごい星空を投影していたところもあったと記憶していますが、これは特殊な部類でしょう)

ところが、デジタル式が主流になってきたことで様相は一変しました。
ビデオプロジェクターの投影クオリティが飛躍的に進化し、PCやハイビジョン、4Kといった高解像度の映像を明るく美しく投影できるようになったことで、これをプラネタリウム投影機として使うことが多くなってきたのです。
星はもちろん、あらゆる映像はCGや実写で自由に作れます。ハードウェアはプロジェクターさえあればOK。複雑な機構を持った専用投影機はもはや不要となりました。

そして、このデジタル化の流れはモバイルプラネタリウムにも波及してきました。
わりと安価にビデオプロジェクターが買えるようになったので、これを使ってエアドームに全天投影できるような小規模なデジタルプラネタリウムシステムが登場してきたのです。

ここ数年、ウィルシステムデザインのプラネタリウム出張上映では、米国製のデジタル投影システム「Digitarium」を主に使っています。
システムで使われているソフトウェアは、朝夕焼けや星空のCG描画が非常にきれいです。この映像を、プロジェクターと全天投影レンズ(魚眼レンズ)でドーム全体に投影できます。

しかし、モバイルプラネタリウムでデジタル投影システムを運用するには、いくつかの問題があります。
それはいったい何か?
ちょっと長くなってしまったので、この続きは、また次回書くことにしましょう。

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