デジタルプラネタリウムを自作する:光学設計の課題

ウィルラボ(ウィルシステムデザインの企画開発ラボ・しつこいがスタッフは私だけ)のデジタルプラネタリウム投影機自作プロジェクトへようこそ。
今回は、投影レンズユニットの光学設計についてです。
前のエントリー記事と少し重複しますが、もう一度まとめておくと、今回自作にチャレンジするモバイル用デジタルプラネタリウム投影機は、

・プロジェクターは民生用の製品をそのまま安全に使えるよう、水平置きにする
・ドーム投影する光学レンズユニットも、市販の(しかも安価な)製品を使えるようにする

という2点が大前提。これが実現できれば、全体の製作コストを劇的に下げることができるし、専用機ではないので他の目的にも汎用的に使えます。
普段はプレゼン等で普通にプロジェクターを使い、必要な時だけすぐにプラネタリウム投影用にできる、というのが便利です。

ところで、水平置きしたプロジェクターで天井やドームに映像を投影するにはどうしたらいいでしょう?

答えはカンタン。鏡で映像を反射させて、天井に向けて投影するのです。
市販されている一般的なプロジェクターは真上に向けて使うと故障やランプ破裂のおそれがあるのですが、この方法なら問題ありません。
たいていのプロジェクターには映像を上下や左右に反転させる機能があるので、それを使えばひっくり返った投影像も正しくすることができます。
鏡だって、ホームセンターで売っている卓上スタンドミラーでOK。

20160704_3

でも、これではあまり大きなサイズの映像は得られません。
プロジェクターの映像は投影距離に比例して大きくなるので、低い天井では投影距離があまりとれず小さな画角になってしまいます。

そこで、プロジェクターの前に拡大レンズ(ワイドコンバージョンレンズ)を置いてあげることによって、ある程度投影サイズを拡大させることができます。
ウィルシステムデザインのシアタープラネタリウムソフトウェア「スターライトドリーム」 を使った祝宴やイベント会場などでの星空演出では、この方法を使って天井に星空を投影しています。

20160704_4

しかし、この方法でもやはりサイズには限界がありますし、もちろん投影できるのは天井平面だけです。
半球ドーム全面に投影するには、真上に向けられた映像を、全周魚眼レンズと呼ばれる特殊なレンズで思いっきり拡大しなければいけません。
この拡大レンズ部分をどうやって構築するかがカギとなります。

20160704_5

デジタルプラネタリウムの製品システムでは、たいがいこのレンズがプロジェクターに直接装着する特注品になっています。なので非常に高価です。
ということで、自作ではデジタルカメラやビデオカメラ用の汎用魚眼コンバージョンレンズを使うのが業界の定石となっています。
たぶん一番よく使われているであろう全周魚眼コンバージョンレンズはこちら、RaynoxのDCR-187PROというレンズです。

しかし、これだけでドーム全天投影するのは難しく、がんばってもドームの上半分程度の映像サイズになってしまうことが多いのです。

魚眼コンバージョンレンズの前段にワイドコンバージョンレンズを入れてさらに映像を拡大させる方法もあります。
実際の構成例はこちら。ワイドコンバージョンレンズはRaynoxのHD-5050PROです。(現在は販売終了しているらしい)
HD-5050射出側とDCR-CF187入射側の直径がちょうど同じ62㎜なので、2本のレンズを直接ねじ込んで合体できます。

20160704_6

これで、かなり大きなサイズの映像にはなります。
しかし、これでもドーム全体への投影は難しく、さらに、拡大映像周辺部のひずみや収差が酷くなるため、なかなかきれいに投影できないのです。
つまり、プロジェクター映像をコンバージョンレンズだけで無理やり拡大させてもうまくいかないということです。

ではどうすればいいのか?やはり高価な特注レンズでやるしかないのか?
これまでは、この段階で自作はあきらめるか、ドーム全天ではないけど投影できる範囲で我慢して上映するかのどちらかでした。

次回は、この課題を解決する考え方について情報をまとめたいと思います。

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク