2号機製作その5:恒星フィルム球の製作
今回は、これまでの投影機メカや電気系統の製作とはちょっと違うところをご紹介しましょう。プラネタリウムの本当の心臓部である、星(恒星)を映す部分の設計製作です。ぶっちゃけた話、ここの出来が素晴らしければ、それだけでドームにきれいな星空を表現することができるのです。…と言ってしまうと、「キミがこれまでレポートしてきた部分はいったい何だったのかね?」と突っ込まれそうですが、投影機メカと制御システム、それに恒星投映部がひとつになってプラネタリウム、なんですね。もちろんどの要素も欠かせないです。
さてその恒星投映部、ここをどんな風に作り込むかで星空の質が決まってしまう大事な部分です。メジャーなやり方としては、金属の半球(台所用品のステンレスボールみたいなやつ)に、実際の星の並びに合わせてドリルで小さな穴をあける方法がありますが、これだといくつもの穴をドリルであけなくてはならないのでそんなに星の数を増やすことはできないし、暗い小さい星を表現するのは非常に大変です。ということで、今回採用したのは特殊な写真製版用の大判ネガフィルムに星のパターンを転写して、それを使おう、というやり方。これは、メーカー製プラネタリウムの性能をはるかにしのぐ驚異的なプラネタリウムを個人で製作されている大平貴之さんが、学生時代に考案された方法です。詳細について興味のある方は、大平貴之さんのホームページをご覧ください。

まずはフィルムに焼き付ける大もとの恒星パターン(原板)を作成する必要があります。できるだけ細かく星を表現したかったので、NASAのデータセンターから膨大な恒星座標データをダウンロードして、自前のプログラムで7.5等星、26,580個の星データを抽出しました。さらにこのデータを別の自作プログラムで透明OHPシートに細かくプロットします。上の写真はそうやってできた透明シート原板の1枚。組み合わせたときに全天をカバーするように、南北各5枚、合計10枚のフィルムで構成されるよう位置補正計算をしています。

これは自室のクローゼット。なんと簡易暗室にしてしまった!(笑)使うフィルムは写真製版用の特殊なもの、それを現像する薬液も特殊なものなので、それを調べてここまで揃えるのにはかなり時間がかかりました。学生のとき少し写真現像をやっていたのと、試作機製作時の試行錯誤があったので今回はわりとスムーズに現像処理が行えましたが・・・パソコンでプリントアウトした透明シートをフィルムと重ね、コンタクトガラスを載せて密着露光、そして現像定着処理を行います。暗闇でこの作業をフィルム10枚分、時間にして約2時間あまり続けるのは、孤独でクラーイ作業です(泣)しかも部屋から服からみんな酢酸臭くなって、家族には白い目で見られるし…哀しい作業でもあります。

さて、これが哀しい(笑)現像処理を終えたフィルムです。ネガなので、透明シートの星の点の部分が透明になって、そのほかの部分は真っ黒になります。これをランプで照らしてあげればドームに星が映るというわけです。下からランプで照らしているので、おびただしい数の星が現像されているのがわかると思います。

すべての製作工程を終えて完成した10枚のフィルムを、計算通りに切って張り合わせたところ。北半球部分と南半球部分の二つの恒星フィルム球ができました。これを、前回までレポートしてきた投影機本体にマウントして中からランプで照らせば…早く見たいですねー、わくわくしますねー。
でもその前に光漏れ修正の地道な作業があるのでした。満天の星空とのご対面、今しばらくはガマンであります…
投稿:Takao@Will System Design | カテゴリ:旧プラネタリウム投影機(1号機・2号機)





