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プラネタリウム投影機

最初の自作投影機(2003年~2014年)

プラネタリウム投影機を初めて完成させたのは、2003年のことでした。

当時プラネタリウムの自作と言えば、金属やプラスチックの半球に星の穴をたくさん開けて、内側から電球で照らし出す「ピンホール式」が一般的でした。
レンズを通して投影する本格的なプラネタリウム投影機に比べると星像は良くないですが、構造が簡単で気軽に製作できるのがメリットです。
私も投影機もその方式でしたが、半球にたくさん穴を開けるのは大変で星の数も増やせないので、代わりに写真製版用の大判ネガフィルムを使いました。
星を正確な位置に印刷したした透明シートをネガフィルムに露光して現像すると、星の点だけが透明になって光を通すフィルムができます。これをプリン形に貼り合わせて星の投影部分を作るのです。
この方法だと、ドリルでは開けられない小さな星まで細かく表現することができます。その結果、星の数40,000個以上、天の川の流れも感じられるようなリアルな星空を再現できました。
また、投影機本体には2個のモーター駆動機構も搭載して、好きな場所や日時の星空を自由に再現できるようにしました。モーターをゆっくり回せば、時間や季節で移り変わる星たちの動きも再現できます。
さらにモーターの速さや回転方向を手元のコントロールボックスで制御できるようにし、カラー電球の調光で朝夕焼けを演出する機能もつけました。

このようなプラネタリウム投影機の製作には、いろいろな知識や技術が必要になります。

  • 星を正確な位置にフィルム印刷するデータ処理プログラムの開発
  • ネガフィルムの入手、露光や現像処理(写真暗室づくりも)
  • 本体や駆動機構の設計、部材の加工や実装
  • モーターやランプの制御回路の設計、基板の製作と電気配線

これらを少しずつ勉強しながら進め、ほぼ1年をかけて、ようやく1号機が完成しました。
ただ、この1号機は星が大きすぎた(雪みたいと言われた)ため、その後すぐに改良版の2号機を製作して、投影される星空は実用レベルに達しました。
そして、この星空をたくさんの人たちに見てもらいたいと思うようになりました。
その夢が、今の出張上映事業につながっています。

この2号機と、その後製作した3号機の2機はその後約10年間運用し、全国の出張上映で活躍しました。
この投影機を使う機会はもう無くなりましたが、現存する3号機は大切に保管してあります。
投影機の製作記録は、プロジェクトアーカイブ(ブログ)に残しています。どうぞご覧ください。
ピンホールプラネタリウムの製作記録はこちら

自作ピンホールプラネタリウム3号機

 

デジタル投影機の製作(2016年~)

プラネタリウム投影機の自作を始めた当時、ビデオプロジェクターはまだ解像度もコントラストも悪かったので、月や惑星、星座絵などを投影する補助として使っていました。
その後性能が飛躍的に向上し、ビデオプロジェクターで星空すべてを投影できるデジタルプラネタリウムが登場しました。
実際に輸入された小型のデジタルプラネタリウムを使ってみると、星はきれいだし、星以外のいろいろな映像も自由に投影できます。
暗くてぼやけた星しか投影できない自作投影機に不満を持っていた私には、とても魅力的なシステムでした。

しかし、問題はその価格でした。最低でも数百万円はするので、とても手にすることができなかったのです。
ということで2014年~2016年の2年間はレンタルでデジタルプラネタリウムを使っていたのですが、やはり自分のデジタルプラネタリウムが欲しいと思うようになりました。
そして、なんとか自分で安価に構築できないかと考えるようになりました。

市販のビデオプロジェクターを使ってドーム全天に星空を投影するには、通常前方に投射されるプロジェクターの光を上に向けて、さらに映像を大きく拡大させる必要があります。
ドーム端から前方に投射し、魚眼レンズを使ってドームの広範囲をカバーする手法が自作システムのスタンダードですが、どうせ作るなら、やはりドーム全天に投影したいと思いました。
しかし、そのためにはどうしたらいいのか、まったくわからない状態からのスタートでした。

そんなとき、The Lhoumeau Sky-System Open Project(LSS)という海外のウェブサイトを見つけました。
そこには、カメラレンズを使ってドームに全天投影させるための技術情報が公開されています。まさに欲しかった情報そのものでした。
この情報をもとに、国内で入手できる市販プロジェクターやレンズで多くの実験を繰り返しました。
最初は、天井の一部に何だかわからないボケボケの光を投影するというレベルです。そこから実用レベルに達するまで、半年かかりました。
それから筐体や部材を設計してシステムをまとめるまでさらに半年、全部で1年くらいの期間を経て、ようやく全天映像投影機が完成しました。
完成したシステムは、ビデオプロジェクターを無理に上に向ける必要がなく安全に運用できます。また、従来のデジタルプラネタリウムシステムに比べて、はるかに汎用性が高く低コストです。

この投影システムはいろいろなバリエーションで現在16号機※まで製作し、自分の出張上映はもちろん、いろいろな企業、団体、個人に納品しました。
投影されるコンテンツも星だけにとどまらず、エアドーム、天井、キューブスペースなど、さまざまな場所でさまざまな映像演出で幅広く活用されています。
※2019年10月現在

デジタルプラネタリウム投影機

 

LSSプロジェクトのサイトはこちら

全天投影用光学ユニットの製作の様子を動画にしました。

デジタルプラネタリウム投影機

 

これまでの納入実績(長期リースを含む・敬称略):Achievement

  • ネオオリエンタルリゾート八ヶ岳高原(常設)
  • 清里の森管理公社(常設)
  • 株式会社スペースクリエイションズ(DomePlanetイベント用2式)
  • 一般社団法人星つむぎの村(出張上映用)
  • 社会福祉法人恵光園(常設1式/出張上映用1式)
  • やんばる星み隊(出張上映用・小型プロジェクター)
  • あいプラネット(出張上映用・小型プロジェクター)
  • NPO法人心魂プロジェクト(パフォーマンス空間演出用)
  • 株式会社スペースクリエイションズ(VRイベント用・光学ユニットのみ3式)
  • 合同会社あんどう(出張上映用)
  • 360プラネット(株式会社こよみ)(出張上映用)
  • 星くじらのしっぽ(出張上映用)

 

システムを自分で作るということ

最初の投影機は、無いものは自分で作るしかないという事情もありました。
当時、学校教育用の小型プラネタリウム投影機は商品として販売されていましたが、星座がわかる数の星を簡易投影する程度のものでした。
やはりそれでは満足できず、自分が見て感動できるくらいの「満天の星空」を表現できるものが欲しかったのです。

今ではずいぶん技術が進歩しました。
投影機はデジタルシステムが主流になり、星はピンホールから漏れる電球の光からフルハイビジョンや4Kプロジェクターのピクセルに変わりました。
高品質のデジタル投影システムもたくさん商品があります。高価ですが、個人で買って手軽に上映ができるようにになりました。

それでも、「自分の使うモノを自分の手で作りたい」という思いは、最初の頃と変わりません。
まさか自分で投影機を作れるとは思っていませんでしたが、やはり継続は力です。続けていれば、必ず何らかの結果が得られます。
加えて、ただお金で買っただけでは得られない経験や楽しさもあり、完成した機材への愛着もひとしおです。

そしていま、そんな自分の作ったモノが欲しい、ぜひそれを使いたいと言ってもらえる喜びも増えました。
そんなうれしい声に応えられるよう、今後も自分なりのモノづくりを継続していきたいと思っています。
プラネタリウム投影機

 

プラネタリウム投影機