市販のプロジェクターとレンズを使って、ドーム全天に映像を投影できるシステムを自作する。
そのカギになるのは、プロジェクターから投射された映像を真上に拡大投影させる光学系の設計です。
映像を真上に投影するには、プロジェクター自体を上に向けてしまうのが一番早いのですが、ランプ光源のプロジェクターは上に向けた設置ができないメーカー仕様になっています。(ランプの破裂や故障の原因になるようです)
というわけで、鏡を使って投射光を上に向けるようにします。天体望遠鏡用の天頂ミラーを使えばOKです。
拡大投影は、天体望遠鏡やレンズ投影式プラネタリウムのように、集光系と投影系の2つのレンズを組み合わせればできることがLSSのサイトで学べます。
http://www.lss-planetariums.info/index.php
サイトにある通り、投影系には全周魚眼レンズを使えばいいのですが、私はここでひと工夫。投影系を広角レンズ+全周魚眼コンバージョンレンズという組み合わせにすることを考えました。その利点は、
- 使用するプロジェクターが変わっても、焦点距離の違う広角レンズに換えることによって対応できる
- 全周魚眼レンズを対角魚眼などの超広角レンズに換えることによって、ドーム球面にも天井平面にも投影対応できる
部材数やコストは少しかかってしまいますが、強力な汎用性を持つことができるのが魅力です。
ということで、この構成を念頭に、使用レンズを選定することにしました。
ただ、実際に集光レンズと投影レンズの最適な組み合わせを探るのは大変です。数多くのメーカー、仕様のレンズがあり、その組み合わせをすべて検証することはとうてい不可能なので。
しかし、ここで威力を発揮したのが、デジタルカメラのレンズキットを買うとついてくるズームレンズ。
最適な焦点距離をこれ1本で探ることができます。ウチにも何本かありましたので、まずはこんな感じで基礎実験を開始。
手持ちのレンズに加え、中古で安く入手できるレンズを集めて、投影実験を重ねました。すると、最初は壁にモヤモヤした光が写るだけというガッカリな状態から、だんだんと映像が確認できるように。
そして多くの実験の結果、最適な投影レンズの焦点距離は、プロジェクターの機種によって24mmか40mmを選べばOKということがわかりました。どちらもキヤノンから比較的安価に販売されている薄いレンズ(いわゆるパンケーキレンズ)を使うことができます。
ここまでくるのに数か月を要したのですが、これでようやく次のステップ、実際に光学ユニットを試作する段階に進むことができます。