プラネタリウム上映番組を制作するうえで欠かせないのが星空映像素材の生成です。
日時や場所(経度・緯度)を設定してリアルな星空を生成し、構成台本の流れや時間指定にしたがって星座や流れ星、日周運動などを加え、編集用の映像素材を作っています。
編集作業用PCの内部パーツやモニターを昨年グレードアップしたことで、これまでFHD60Hzで生成していた星空素材映像をWQHD100Hzで生成できるようになりました。最終的な完パケはFHD60Hzのmp4動画にするのですが、取り込み素材として後者を使った方がより精細な映像になるのではないかと考えました。そこで、これまでのFHD60Hz素材と比較してみることにしました。
以下、そのキャプチャです。違いがわかるでしょうか。(画角の左右をトリミングしてあります)


左側が、FHD60Hzで生成した素材をFHD60Hzで編集・書き出ししたキャプチャです。
右側が、WQHD100Hzで生成した素材をFHD60Hzで編集・書き出ししたキャプチャです。
WQHD素材はFHD変換する時点で75%に縮小されますので、星やテキストのサイズが小さくなります。
その結果、より星像の小さい自然な感じの星空になりました。FHDの方は等級差がちょっと不自然で、ギラギラした感じです。ずっとFHD画質に不満があったので、これはWQHD素材で決まり!と思いました。
しかし。
実際にプロジェクターで全天投影してみると、WQHD素材の星空は暗くて寂しいのです。星像が小さくなった分、微光星は見えなくなり、全体的に視認できる星の数が減っています。これはモニターで見るより全天投影で見ると顕著で、星空に奥深さがなくなっている印象です。
解像度を上げた素材を使うと自然な星空にはなるけど、星の数や明るさには欠けて寂しい印象になる。
一般の商用イベント向け素材として、どちらを使うのがより良い方向なのか。
やはり一般的には、「満天の星空」をよりイメージできる派手な感じがいいのではないか。
ここでずいぶん悩んでしまいました。
結果、しばらくは、これまで通りのFHD60Hzで生成した星空素材を使うことにしました。
今後、現行モデルより高輝度なプロジェクター使用が標準的になってきたら、より高解像度の素材を使っていこうかなと思っています。
個人的にはリアルさを感じられるWQHDの方が好きなので惜しい気もしますが、これは中の人の個人的な好みだけでは決められないものです。機材性能や編集画質の向上をウォッチしつつ、それとうまくバランスのとれたレベルの素材を使っていきたいと思います。