もうかなり前ですが、重度の身体障がいを抱える子どもたちが通う養護学校でプラネタリウム出張上映をしたときのこと。
そのときは、部屋の窓を遮光して傘ドームを天井から吊るして設置。床には布団を敷き詰めて、寝たきりの子どもたちがそのまま星を見上げられるようにしました。事前に先生がたと何度も打合わせをして決めたスタイルです。
投影も普段とは違い、まず子どもたちがいつも聞いている音楽を流して緊張をほぐし、ゆっくりした口調で星が映っていることを伝えたり、先生が星の絵本を読みきかせたり、という内容で行いました。
すると、最初ほとんど反応のなかった子どもたちが次第に目を見開き、手を上に伸ばし始めました。
ドームに投影された星を見て、触ろうとしているのです。
先生も保護者も、そして私も、これには本当に驚きました。
この子たちは、全盲なのです。
それなのに、電球の小さな星の光をちゃんと感じている。
それを自分の「目」で星を見ている。そしてそれを自分の「手」で触ろうとしている。
この子たちには、絶対に星が見えている。
医学的な根拠はまったくないでしょう。
でも私にはそう見えました。今でもそう信じています。
この子たちにプラネタリウムを見てもらう機会を作れて本当に良かった。
プラネタリウムの星には、まだまだいろいろな魅力や可能性がきっとある。そう思いました。
もう何年も前のことですが、今でも大切な経験です。