自作投影機を完成させ、プラネタリウム出張上映を始めて5年くらい経った2009年ごろ、「小型のデジタルプラネタリウムシステムがアメリカにあるらしい」との情報を得ました。
デジタルプラネタリウムとは、コンピュータとビデオプロジェクターを使って星空をCGとして描画投影するシステム。
当時プロジェクターは、まだブラウン管と巨大なレンズを組み合わせた3管式と呼ばれる大型機材が主流で、ようやくDLPやLCDなどのデバイスを使った小型機材が普及し始めていた頃でした。その小型プロジェクターと魚眼レンズを使ったデジタルプラネタリウムシステムがあり、持ち運びができてエアドームでも使えるという。これは驚きの情報でした。
ほどなく、地元の大学が科学館と連携してこのシステムの導入することになり、その納品をお手伝いする機会をいただきました。輸入したのは、アメリカで販売されていた「Digitarium(デジタリウム)」という製品の初期モデルです。
小型とはいえ、個人では到底買えない高価な機材。それを扱う機会を得られたのは本当にラッキーでした。しかも、納品チェックという名目で、自室で投影を満喫できるなんて!
たぶん私が、日本で最初にこのシステムを触った人間なんじゃないかな。
で、初めての投影を見たときの感想はこんな感じ。
- 星が瞬いている!色もついている!
- 月や惑星が投影されてる!近づくこともできる!
- 天の川がリアル!星雲とか銀河に飛んでいくこともできる!
- 星座の線や絵、座標線が自由に出せる!好きな画像も出せる!
- 朝夕焼けがリアル!本当に太陽が動くし、周りの景色も投影できる!
- スクリプトというものを書けば、自動で投影が進んでいく!
- 全天ビデオ映像も再生できる!
実際にどんな投影ができるのか、スクリプトの勉強も兼ねて制作したデモ映像がこちらです。
いまでは全部当たり前の機能ですが、ピンホールの星しか投影できない自作投影機を使っていた当時の私にとって、それはかなりな衝撃でした。
完全にデジタルプラネタリウムにハマって自分の出張上映でも使いたくなった私は、当時からお世話になっていた関連会社を説得してこのシステムをなんとかゲット。その関連会社が所有し、それを私がお借りするという協働での運用をスタートさせました。
それからは数多くのイベントでこのシステムが大活躍。ピンホール投影機では難しかった大型エアドーム投影にも対応できるし、スクリプトを活用した自動上映番組も少しずつ作れるようになって、どんどん大規模・長期のイベントにも対応できるようになっていったのです。
まさにこのデジタルプラネタリウムシステムとの出会いが、出張上映事業のレベルを大きく引き上げてくれたのでした。