自作のピンホール投影機を使って出張上映をしていた私にとって、初めてデジタルプラネタリウム経験は衝撃的でした。
パートナー会社が輸入した機材を借りて自分の投影でも使い始めると、ますますその魅力にハマっていきます。
電球の低めの色温度で投影した星が「暖かい星」と形容されることもあったピンホールプラネタリウム。これにはこれの良さがあるのですが、やはりダイナミックな全天映像を演出できるデジタルシステムには勝てず。あっという間に出張上映の機材はデジタル一辺倒になりました。
ほどなく、「この投影システム、自分で作ることはできないだろうか?」という思うようになります。
レンタル料を払って借り物を使い続けるのもあれだし、かといって自分で買えるような金額ではないし。
そして何より、ピンホールプラネタリウムを自作したときと同じ、自分で作ってみたい!という欲求が日に日に強くなりました。自分で安価に作れれば、全天映像やデジタルプラネタリウムをもっとたくさんの人たちに見てもらうことができるし。
というわけで、デジタル投影システム自作のチャレンジが始まります。
とはいえ、一からすべてを設計したピンホール投影機とは違い、デジタルシステムはプロジェクターやレンズなど既成の製品を組み合わせていくという作業がメイン。どのレンズをどう組み合わせたらプロジェクターの映像をドーム全天に綺麗に投影できるのか、まずはそこを模索するところからのスタートでした。
目標にしたのは、プロジェクターもレンズも市販の機材を使うこと。
専用のレンズを開発すればコストが高くつきます。できれば安価に簡単に構築したかった。
とりあえず自宅にあったレンズや中古で手に入れたレンズを総動員して基礎実験開始。
でも、単純にプロジェクターの前に置いただけでは映像が少し拡大されるだけで、ドーム全天映像にはなりません。
いったいどうやったら全天映像が得られるのか、レンズなどの光学知識ゼロの私の暗中模索が続きました。