2002年のある夜、自宅の電話が鳴りました。
「保育園の夏祭りでプラネタリウム上映会できませんか?」
当時、自作を始めたプラネタリウム投影機を活用する方法や機会を探るため、そして独立起業の可能性を探るため、私は地元商工会議所主催の創業塾に参加していました。
電話の相手は、そこで知りあったかた。
聞けば、その保育園の保護者会の役員をされているということでした。
はじめての上映。
当たり前だけど、なんの経験もノウハウもない状態。
作りたての試作1号機と傘ドーム、そして、何があってもいいように、大量の工具や修理部品を持ち込みました。
窓をすべて遮光シートでふさいだ真夏の保育室は、まるで蒸し風呂のような暑さ。
そこに傘ドームを吊り下げ、みんなで寝転がって上映を見てもらいました。
とにかく初めての投影で何を話していいかもわからず、汗だくでしどろもどろな私。
でも、子どもたちには大ウケ。
部屋が暗くなってドームスクリーンに星が映りだすと、大喜びで口々に叫びました。
きれい! これ、ゆき? 雪を映してるの?
え・・・
このあと、投影像が「星」と認識されなかった哀れな試作1号機は即時解体・破棄という運命に。
しかし、その屍を乗り越えて!みんなが驚く満天の星を投影できる2号機の誕生となったのです。
あのときのキミたちの「ゆき?」がなかったら、きっと2号機はできていなかっただろうし、その後の出張上映もなかっただろうな。
ということで、これが今でも思い出深いはじめての上映、そして、こどもたちからの最初の一言なのです。