不思議な天体望遠鏡システムを開発する

「不思議な天体望遠鏡」というちょっとおもしろそうな開発を思い立ち、その試作システムを製作しました。
まずはその外観をご覧ください。すべて自作なので完成度はイマイチですが…

外観
試作した望遠鏡の外観

実はこの望遠鏡、ホームセンターで調達した水道管や木材でできているのです。
こんなものでいったい何が見えるのかって?
では実際に覗いてみましょう。

星空
覗いてみると、そこには満天の星空が!

なんと、満天の星空が見えるじゃないですか!
もちろん、ちゃんとその時間その場所で見える星空です。月や惑星たちも見えています。
難しいセッティングやピント調整もまったく必要なし。覗くだけで、誰でもすぐに見ることができるのです。

つぎに、望遠鏡の下の操作ボックスについている3つのダイヤルをぐりぐりと回してみます。
すると、上下左右に視野が動きます。見たい場所へ自由に移動できるのです。
そして、見たい天体をズームアップすることもできます。しかも、どこまでも近くまで!
(望遠鏡の内部に光が反射してしまっていますね。黒い植毛紙などを貼って反射を抑えた方がよさそうです)

最初の場所に戻りたいときは、ボックスの横についている黒いリセットボタンを押すだけ。
どうですか?とてつもなく高性能な望遠鏡じゃないですか?
天気に関係なく、外に持ち出す手間もなく、誰でもすぐ簡単に図鑑のような美しい星空を楽しめるのです!

そのからくりは?

勘のいい方は、すでにこのシステムのからくりにお気づきでしょう。
そう、この望遠鏡、筒の中には対物レンズや鏡ではなく「ディスプレイ」が入っているのです。本当の空を見ているのではなく、そのディスプレイに映った星空を操作して覗いているというわけです。
星空を再現するのは、独自に開発を進めている専用のPCアプリ。その時間その場所で見える星や月、惑星たちをリアルタイムに描画しています。ダイヤルやスイッチの操作情報はUSB経由でPCに送られ、アプリで処理されて、眺めたい場所やズームを変える仕組みになっています。
操作情報をPCに送る機能は、独自に開発したマイコン制御ソフトウェアで実現しています。ボックスの中に小型マイコン基板があるのが見えるでしょうか。

望遠鏡ハードウェア。組み込みディスプレイが見える。
操作ボックス内部。操作情報を処理してPCへ送信するマイコン基板が見える。

操作情報をリアルタイムに反映させて3DCGの星空を描画し、その画面を望遠鏡で覗く。天体望遠鏡とデジタルプラネタリウムを合体させたようなシステムになっていることがわかると思います。
そのからくり、アイデアは、バカらしいくらい単純で、誰でも思いつくような簡単なもの。
そのアイデアを実際に形にしたのが、この望遠鏡システムなのです。

天体観測の醍醐味は「望遠鏡を覗く」こと

天体観測の醍醐味って、やっぱり自分で望遠鏡を操作して星を観たという体験そのものでしょう。スマホや図鑑で眺めるのとはまるで違うし、観望会で大型モニターを見るのとも違う。やはり、「覗く」というアクションが大事。
でも、観望会で実際に望遠鏡を覗いてもらうと、「ぜんぜん見えない、見方がわからない」「図鑑の写真みたいにきれいに見えない」といった感想が参加者から多く聞かれます。この残念な感じ、観望会を企画主催したことがある人なら誰もが経験していることでしょう。みなさん、期待していたものと実際に見えるものとのギャップにがっかりしてしまうのです。

そこで!
バーチャルでいいから、図鑑にあるような宇宙の美しい映像を、自分の目で覗くという体験を提供できないか?
天気に左右されず、屋内で、星や宇宙のイベントアトラクションとして使えるものにできないか?
そうすれば、入院中やいろんな事情で外に出られない、ふだん星を見上げることのできない人たちにだって天体観測の醍醐味を楽しんでもらえるはず!
そんなことを考えたのです。

覗いた先にあるのは、あくまで3DCGで作られたバーチャルな映像です。
それは決してホンモノではないけれど、自分で望遠鏡を覗いて美しい星の世界を感じることができたという体験は、きっと良い思い出として残るはず。それをきっかけに、星や宇宙に興味関心を持ってくれるかもしれません。
プラネタリウムは基本的には受動的に星空を見上げて解説を聴く時間なので、それに加えてこのようなアトラクションアイテムがあると、関連のイベントももっと盛り上がるのではないかと思うのです。

今はなかなかイベントを企画実施できない難しい時期ですが、いつか必ずこのアトラクションが多くのこどもたち、そして大人たちに楽しんでもらえる日がくると信じて、今後もこの「不思議な望遠鏡」システムの改良やさらなる充実を図っていくつもりです。ぜひご期待ください。

一緒に開発しましょう!

そして、このようなシステム、アプリを一緒に企画制作してくれる仲間を随時募集しています。3DCGの星空描画アプリはJavaScript+WebGL(Three.js+GLSL)で開発しています。制御マイコンはArduinoを使っています。特に3DCGの深い知識やプログラミング経験をお持ちのかた、わからないことだらけで独り試行錯誤を続けている私をどうかお助けください(笑)

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