プラネタリウム100周年

今日2023年10月21日は、近代的なプラネタリウムが世界で初めて公開されてからちょうど100年の記念日。
各地のプラネタリウム施設では、さまざまな記念の催しが企画されています。
(私も、来月には地元の関連イベントで上映が予定されています)
そしてその一環として、なんと「プラネタリウムガチャ」なるものも登場。もちろん、私も買いました。日本に初めて設置されたプラネタリウム投影機のミニチュアモデルです。


ドイツで披露された最初のプラネタリウム投影機は、ご当地の星空や惑星を、大きなドームに美しく正確に再現できたといいます。すでに基本的な機能は完成されていたわけです。

それから100年、プラネタリウムは大きな進化を遂げました。ランプやレンズで構成された光学式投影機は億単位の微細な星や天の川をリアルに映し出すことができるようになり、プロジェクターを中心に構成されたデジタル投影システムは4Kや8Kの高解像度で全天映像を演出することができるようになりました。直径が30mを超えるような巨大なドームや、スクリーンに無数のLED素子が埋め込まれた、ドーム自体がディスプレイになる(もはや投影機やプロジェクター自体がいらない)システムも登場しています。光学式投影機とデジタル投影システムの連携で展開する映像は圧倒的な迫力と美しさで観客を魅了しています。
この100年間のプラネタリウム機材の進化はまさに隔世の感がありますが、実際の上映では、豊富な知識と巧みな話術を持つ専門の解説員によるライブ投影解説が変わらず人気です。このあたり、最新のデジタル技術と人の温かいアナログ手法がおもしろい融合を見せてくれてるなと感じます

さて一方の移動型プラネタリウムですが、実はこちらもかなりの歴史があるんじゃないかなと思います。
いつだれが最初に始めたのか定かではありませんが、小さなピンホール投影機は相当昔からありましたし、学校や個人で自作する人もかなり前からあったようです。
機材を持ち歩いて全国出張上映をするという専門サービスが商用事業として始まったのは25年ほど前でしょうか。私の知る限り、私が開始した2004年以前に何名か先駆けがいらっしゃいます。とはいえ、その当時は珍しいサービスだったことは間違いありません。

自作ピンホール投影機と、段ボールドームや布製傘ドームを使って上映していた頃のスナップ。2006年ころ

移動型の機材もこの20年でかなり進化を遂げました。当初はほとんどが簡易的なピンホール投影機と傘型ドーム(または自作の簡易エアドーム)でしたが、レンズを使った本格的な投影機が登場したり、メーカーがエアドーム製品を販売したりしました。
(現在エアドームを特注品ではなく製品としてラインナップして常時販売しているのは、ウチのソラドームだけかな?と思いますが)

そして投影機もプロジェクターを使ったデジタル式が登場します。小規模なシステムであれば、プロジェクターと魚眼レンズがあればわりと簡単に構築できるし、何よりさまざまな映像や番組を上映できるため、移動型のプラネタリウムサービスでも多く使われるようになっています。でも、こちらでもやはり担当者によるライブ投影解説が好まれる傾向があり、そこは大規模な施設と変わらないおもしろいところです。

左がピンホール投影機(2004年~2014年)、右がデジタル投影システム(2016年~)。どちらも自作のオリジナルシステム。

さて、移動プラネタリウムの方はこれからどんな進化を遂げていくのでしょう。
ウィルシステムデザインのプラネタリウム出張上映サービスは来年20周年を迎えますが、移動プラネタリウム100周年の時はもちろん私はいないし、このサービス自体も世間から消えているかもしれないけど、もし誰かが事業を続けてくれていたら、ひそかにお祝いしてほしいなって思います(笑)

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