プラネタリウムと心理学

投影中ひっそりと泣いていた人が、終了後に「心が晴れました」とお礼を言ってくれた

知的障碍を持つ子と持たない子が、初対面で一緒に星を見上げて「天使がいるね」「ほんとだね」と話していた

全盲のはずの子が、星の光に思いっきり手を伸ばした

杖をついてきたおばあちゃんが、杖を忘れて颯爽と歩いて帰ろうとした

喧嘩して険悪なムードだった恋人や親子が、手をつないでエアドームから出て行った

これらはすべて、実際にあったことです。
これまで長く移動プラネタリウムの出張上映をやってきて、そんな驚きのシーンを何度となく見てきました。
きっと、何らかの心理的、あるいは脳科学的な効果なり作用なりがあるのでは?と思っているのですが、残念ながら、学術的にその相関をちゃんと調査・研究したという文献はなかなか見当たりません。
(文献を知っているかた、あるいは調査研究をされたことがあるかた、ぜひ教えてください!)

プラネタリウムを鑑賞したときに、自律神経指標や心拍数などの生理機能に有意な変化が確認されたとする研究報告(下記記載の参考資料)はあったので、きっと何かしらの因果関係はあるのでしょう。もちろん、それが単に暗い場所だったとか、楽な姿勢をとっていたとか、静かな音楽を流していたとか、いろいろな要因があるとは思いますが、それも含めたすべてがプラネタリウムの上映環境であることには違いありません。

エアドームという布1枚で外界から閉ざされた特殊な空間を作れる移動プラネタリウム。暗くて静かで日常から離れた時間や空間を演出できる移動プラネタリウム。きっとそこでは、単に星を見上げたという以上のなんらかの体験を味わうことができるのだと思います。そしてそれは、心や体になんらかの影響を及ぼすのだと思います。

私はその学術領域のことは何も知らない素人ですが、そんな調査や研究があったらいいなと思いますし、もしそんな機会があれば、全面的に協力したいなと思っています。

参考資料
宇宙航空環境医学Vol.49, No.4, 61, 2012「家庭用プラネタリウム鑑賞中の姿勢の違いによる生理機能の相違」
伊藤康宏1・山﨑将生1・加藤みわ子2・野村裕子1・高林彰1
(1 藤田保健衛生大学大学院 保健学研究科 2 愛知淑徳大学 心理学研究学科)

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