プラネタリウム投影を自分たちの手でやりたいと思ったときに問題になる、ドームについてのお話です。
今はエアドームを使うのが主流で、昔に比べれば製品も入手しやすくなりました。もちろん、ウィルシステムデザインが企画販売しているソラドームも使えます。ただ、やはりある程度の値段はするので、学校の文化祭や学園祭でやるときには導入は難しいかもしれません。
そこで今回は、「買えないなら作ろう!」です。段ボールで手軽にドームを作る方法を公開しましょう。
手作り上映会に向けてみんなでドームを自作するのも楽しいし、いい経験、勉強になること間違いなしです。
段ボールドームの設計
設計の考え方は簡単です。みかんの皮を張り合わせるようなイメージでパーツを作って貼っていけばいいのです。
その「みかんの皮」の形は、三角関数を使って計算することができます。
三角関数といえば、、あのサイン・コサイン・タンジェントですね。
「こんなもん、将来何に使うの?何の役に立つの?」
誰もが数学の時間に一度は思ったことがある、あれです。
しかし、ついにそれが役に立つ瞬間がやってきたのです。さあ、数学の教科書を開きましょう(笑)
詳しい設計製作方法をPDFにまとめましたので、ご覧ください。
段ボール板を使ったプラネタリウムドームの設計・製作方法(PDF)
段ボールドームを作る
何枚の皮で直径何mのドームを作るかを決めたら、資料にある計算式で必要なパーツの寸法を決めます。
あまり大きいものは工作が大変ですし、自重でつぶれてしまう危険もあります。手頃なのは資料で紹介している直径3mくらいでしょう。それでも10名くらいは中に入れますので、おすすめです。
段ボールはスーパーなどでもらえれば無料ですが、大きなサイズできれいなものが大量に必要なので、しっかりした段ボール板を購入したほうがいいかもしれません。片面が白色の段ボール板A0サイズがセット販売されていますので、これを購入すればきれいなドームが制作できます。下に10枚セットと50枚セットの商品リンクを貼っておきます。
スーパーなどで段ボールをもらうときは、かならずお店の許可を得てからにしてください。できれば先生や指導者のかたに同行してもらうといいでしょう。くれぐれも勝手に持ち去るなどの迷惑行為はやめましょう。
そして、PDF資料を参考にパーツを設計して切り出し、曲げながら布テープやガムテープで貼り合わせればOK。
実際には1パーツを1枚で作れるほど大きな段ボール板はないので、何枚かをつないで1パーツを作ることになります。
上で紹介したA0サイズの段ボール板なら、縦に2枚つなぐと1パーツ分が作れます。12パーツ作るのであれば、予備を含めて24枚以上が必要です。10枚セット×3の購入だと3万円ちょっとですが、50枚セットだと2万円弱で購入できます。
そして、ここで一つ注意。
段ボールには折り曲げやすい目があります。その目に沿ってきれいに湾曲させるように曲面を作るのがミソです。
最後にドームの天頂部分を塞いで完成。光漏れもていねいに塞ぐと、投影品質が良くなります。
完成した段ボールドームは、こんな感じ。写真の制作例は直径約2.6mです。
とある科学館のワークショップで小学生と一緒に作りました。外側には、みんなの手形スタンプをつけました。

ドームの中はこんな感じ。

四辺にテーブルを置いてそこにドームを乗せたり、土台部分も段ボールで作ったり、設置方法もいろいろ考えられます。
そして部屋を暗くすれば、ちゃんとプラネタリウム投影ができます。
実はこの作り方、基本的な考え方はエアドームも同じです。パーツが段ボールか遮光生地かの違いだけです。
同じように計算して裁断したパーツ生地を縫製したり接着したりして、送風機で膨らませればエアドームになるのです。
(実際のエアドームでは、床部分や出入口、送風や排気部分などを作る必要があります)
この方法でエアドームを自作している人もけっこういます。
最近では、ジオデシックドームやフラードームの自作パーツ販売や情報をまとめたサイトも多くあります。
いろいろ探してみて、ぜひプラネタリウムドームの自作にチャレンジしてみてください!