ちいさなパン屋さん

とある昼下がり、たまたま見つけたパン屋さんに行った時のことです。

ナビを頼りにたどり着いたのは、ご自宅の敷地内に建てた6畳あるかないかの小さな店舗。
時間も時間だったので、残っているパンはほんの少し。5種類くらい、各1~2個だったかな。
「これしか無くてすみません・・・」
しきりに恐縮しているオーナーの女性。少し微妙な空気になる店内。

そのまま店を出てもよかったんだけど、とっさに思いついて、少し大きな声で妻に言いました。
「全種類買っていこう!」

その一言で、妻も、そしてお店のオーナーも笑顔になった。店内が明るくなった気がしました。
そして、残っていたパンを本当に全種類1個ずつ買いました。合計5個。

「なんだ、これだけしかないのか」
と思うこともできたし、
「これ、全種類食えるじゃん」
と思うこともできた。
その違いは、その時間の、ひいてはその後の自分の気分も周りの人の気分も変えるんじゃないだろうか。
その瞬間、すぐ後者を思い、それを言えたことが、ちょっとうれしかったのでした。

パン屋さんを出て、コンビニでコーヒーをふたつ買い足して、近くの公園でパンを食べました。
なんだかとてもおいしく感じたのは本当です。

優しい言葉は、相手はもちろん、それを発した自分も優しい気持ちにしてくれる。
そんなことを感じた、昼下がりのランチタイムでした。

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