投影システムを自分で作るということ

ウィルシステムデザインでは、これまでピンホールプラネタリウム投影機やビデオプロジェクターを使った全天投影システムをいろいろと自作してきました。
では、なぜわざわざシステムを自分で作るのか?
答え:作りたいから。自分の投影機が欲しかったから。

こう簡単に書いてしまうとこのトピックはここで終わってしまうので(笑)もう少し深堀りさせてください。
投影システム最初のブログは、自作への思いを綴ってみます。


ピンホールプラネタリウム投影機(2003年から製作)

自作ピンホール投影機
自作ピンホールプラネタリウム3号機

小型のプラネタリウム投影機は、実は昔から学校教具として販売されていました。私も高校の文化祭でプラネタリウム上映をやったときにはそれを使いました。もしかすると、いまも多くの学校の理科準備室に眠っているかもしれません。

でも、それじゃぜんぜん満足できなかった。
とにかく、映る星の数が少なすぎる。
星座がわかる程度の星が、大きくぼーっと映る程度。とても「満天の星空」じゃなかった。
天の川を投影する仕組みもあったけど、天の川の存在なんてまるっきり感じられなかった。
学習用だからそれでOKだったのかもしれません。
それなのに、たしか価格は数十万円はしたと思います。高価で買うこともできなかった。

だったらもう、自分で納得いくモノを作るしかないじゃないか、と。
自分が見ても感動できるくらいの「満天の星空や天の川」を自分で映すしかないじゃないか、と。
それが最初の思いでした。

結果として、約2年の期間を経て自作プラネタリウム投影機はなんとか完成しました。その後、2号機、3号機と製作して全国出張上映で運用しました。ピンホール式という原理的な限界はあったものの、見た人が驚くような、何よりも自分が感動できるような星空をある程度作ることができたと思います。この投影機製作や出張上映の思い出は、今後もこのブログで紹介していくつもりです。

全天投影システム(2016年から製作)

全天投影システム
自作全天投影システム試作1号機

それから15年、技術はものすごく進歩しました。
モバイルプラネタリウム投影機はデジタルシステムが主流になり、星はピンホールやレンズから漏れる電球の光からビデオプロジェクターのピクセルの光に変わりました。
高品質のデジタルプラネタリウム製品もいろいろと発売されました。初めてエアドームでデジタル投影を見たときの衝撃は忘れられません。そんなすごいシステムが個人でも持てるようになったのです。

それでもやっぱり、「自分の使うモノを自分の手で作りたい」という思いは15年前と変わりませんでした。
もちろん、デジタルシステムが高すぎて買えなかったということもあるけど。
でも、買えない=あきらめるという風に終わりたくなかった。なんとかあの衝撃の映像を自分でも映せないだろうか?と思ったのです。
ピンホールプラネタリウム投影機を自作できたという成功体験もその思いを後押ししてくれました。きっとなんとかなるだろうと。
もちろん知識やスキルなどありません。必要に迫られて、実験や検証で一つ一つ体得していき、こちらも1年以上の年月を経てようやく形にすることができました。やはり継続は力ですね。続けていれば、必ず何らかの結果が得られるものです。
全天投影システムの構想や製作の記録も、今後ここで紹介していきたいと思っています。

そうやって完成させた機材への愛着はひとしおです。そして、自分のチカラでそれを成し遂げたという喜びや満足感もまたひとしお。どちらかというと、後者の方が強いかもしれません。なんでもお金を出せばたいてい手に入る時代ですが、やはりそれだけでは得難いものはあって、それって実はけっこう大事なものなんじゃないかなって思います。

そしていま、そんな自分の作ったモノが欲しい、ぜひそれを使いたいと言ってもらえる喜びも増えました。
そんなうれしい声に応えられるよう、今後も自分なりのモノづくりを継続していきたいと思っています。

投影システム
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
目次