新型ソラプロジェクター(ほぼ)完成

昨夏の構想開始からほぼ10か月。ようやく、新型ソラプロジェクターの試作1号機が完成しました。
現行仕様との主な違いは下記の通りです。

現行モデル

新型モデル

使用プロジェクター

明るさ3,000ルーメン
コントラスト1:100,000
高圧ランプ光源
(寿命:約3,000~4,000時間)

明るさ5,200ルーメン
コントラスト1:3,000,000
高輝度レーザー光源
(寿命:約20,000~30,000時間)

光学レンズユニット

集光レンズ:50mmf1.4
投影レンズ:24mmf2.8
円周魚眼コンバージョンレンズ
天頂ミラー使用

集光レンズ:50mmf1.2
円周魚眼レンズ:8mmf3.5/f4.0

仕様比較を見てわかるとおり、文字通り「何から何まで違う」投影システムになりました。
プロジェクターは高輝度レーザー光源モデルを採用し、より明るい映像を投影できるようになりました。レーザー出力をECOモードでかなり絞っても十分な明るさです。

また、現行システムで使っているプロジェクターは上に向けることができない機種のため、水平置きしたプロジェクターの投射光を天頂ミラーで真上に90度向けるという投影方法をとっています。この方法だと部品点数も多くなりますし、光路長のずれなどによる画質の劣化(南北方向でのフォーカスのずれや非対称な収差など)が発生します。
対して、新型システムで採用したプロジェクターはチルトフリー対応(どの角度にも向けることができる)なので、プロジェクターを真上に向けてまっすぐ天頂へ投影するシステム、つまり天頂ミラーを使わないシステムを構築することができます。
これにより、ドーム周辺から下端まで、全方位に渡ってしっかりフォーカスの合った、収差を抑えた映像を得ることができるのです。外観もまるで違う形状となりました。

さらに、レンズも現行の3本の組み合わせから、より高性能な2本というシンプルな組み合わせに変更。
大口径で明るい集光レンズで余力を持ってプロジェクター投射光を受け止め、ドーム全天投影から天井平面投影まで対応できる魚眼レンズで高精細に投影できます。

入退場時に観客がぶつからないよう床照明つき。脚部フレームは簡単に外して本体フレーム内に組み込んで収納できます。

さて、ここまでの紹介では「現行モデルのすべてを凌駕し、すぐに置き換えられる最強のシステム」になったと聞こえたのではないかと思います。
が、実はそう簡単な話でもありません。

プロジェクターは、ただ明るいだとか長寿命レーザー光源だとかいうカタログスペック以外に、実際に映してみないとわからない隠れたスペックがあります。色の再現性や階調表現、黒の締り具合などです。特に小さなピクセルで星を表現するデジタルプラネタリウムでは、普通の映像では気にならないような細かな映り具合が気になることもあります。実際、星空描画のリアルさや美しさでは、3,000ルーメンのプロジェクターの方が適しているのではないかと感じることもあります。どちらかに統一していくのではなく、適材適所で新旧モデル両方を使っていくことになると思います。

でもまあ、とにもかくにも、現時点ではベストな機材でシステムを構築できたことにまずは一安心。
早く実戦投入して、みなさまにご覧いただけるよう、がんばりたいと思います。
今後のソラプロジェクターの進化・発展に、どうぞご期待ください!

なお、新型ソラプロジェクターは当面製作受託は考えていません。自身の出張上映で活用していく方針です。

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