ピンホールプラネタリウム製作記・試作1号機

自宅の物置にひっそりとしまわれている、大きなアルミ製の特注トランクケース。
その中には、今ではすっかり使われることのなくなったピンホールプラネタリウム投影機(3号機)が入っています。
ウィルシステムデザインのストーリーは、このプラネタリウム投影機を自作したところから始まりました。
その製作記録をブログにまとめておこうと思います。
そう、ただ自分の思い出のためだけに(笑)
よかったら、ぜひみなさんもご覧ください。

試作1号機の製作:2002年

試作1号機

これが、最初に作った試作1号機です。
筐体の部材はすべてアクリル板の手切り。
精度や強度はガタガタ。
多くの失敗や試行錯誤の末、ようやく形になった投影機です。

実はこの試作には、形状や回転機構の設計よりも重要な目的があリました。それは、
「フィルム式の恒星投影を実現させること」
です。


当時個人が作るピンホールプラネタリウムは、キッチンボウルなどの半球にドリルで小さな穴を開けて中から電球で照らす方法が主流でした。だけど、それだと微細な星をたくさん投影することは難しいし、そもそも穴あけが大変すぎます。
そこで、写真製版用の大判ネガフィルムに星を印刷・現像して投影する方法に注目していたのです。
(メガスターの開発で著名なプラネタリウム・クリエイター大平貴之さんがウェブサイトで紹介されていた方法です)
この方法さえモノにできれば、ピンホール式でも満天の星空を投影できるはず。
ここが絶対「キモ」になる。そう考えていました。

まずは近所の写真店で製版フィルム100枚と現像液20Lと定着液20Lを発注しました。個人が購入するようなものではないので、納期は1か月以上かかりました。たしか費用も数万円以上したし、重量もすごかったはず。
「こんなモノ、どうするんですか?」
と店員に聞かれながら、得体のしれないモノに散財してしまったと思いながら、こっそりと家に持ち帰った記憶があります。
次に、フィルムの露光や現像ができるよう自室のクローゼットを簡易暗室に改造しました。
自作のプログラムでOHPシートに星の点を印刷して、暗室で製版フィルムに露光。ネガフィルムなので、星の点は透明になり、それ以外の領域が真っ黒になります。これを電球で照らせば、ドームに星が投影できるというわけです。
くる日もくる日も、それこそ薬剤の匂いが服に染みついてしまうくらい毎晩露光や現像の実験を繰り返して、ようやく恒星投影フィルムを作りあげることができました。それを丸めて電球を包み、中から照らしてみると、「ドリルの穴」よりも遥かに多くの星を投影できることが確認できました。「キモ」を手中にした瞬間でした。

それからほどなく完成した試作1号機は、プラネタリウム投影機としての基本機能を一通り備えていました。場所や日時を自由に設定できたり、星空をゆっくり回転できたり。カラー電球で朝夕焼けのイメージを作ることもできました。
しかし、この投影機が実戦投入されたのは、実はたったの1回だけ。その悲しい運命は、プラネタリウム出張上映の投稿記事「はじめての上映」に詳しく書きましたので、どうぞご覧ください。

涙無しでは語ることのできない運命に翻弄され、試作1号機はその短い生涯を閉じました(笑)
しかしそのDNAは、しっかりと2号機へ引き継がれていくのでした。
つづく。



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