いろいろなエアドームを使ってみた

プラネタリウム出張上映に無くてはならないのが、エアドーム。

もちろん、天井に直接投影する方法もありますが、やはりイベント会場に突如出現するエアドームのインパクトは絶大で、それ自体がイベントの客寄せアイコン、広告宣伝塔として機能したりします。

そんなエアドームには、いろいろな製品があります。
今回は、自称「日本一いろいろなエアドームを扱ってきた男(笑)」である私が、これまでに実際に使ってきたエアドームを一気にご紹介しましょう。

星たまご(太陽工業製)

東京ドームの天井幕などを手がける大手メーカーが作ったエアドームです。残念ながらすでに製造販売を終えているようですが、軽量で防炎の国産製品としては、これまで唯一の製品だったと思います。とにかく軽かったので、運搬はとても楽でした。
ただ、生地がとても薄くて耐久性に欠けるため、すぐにピンホールや畳み傷ができてしまうのが難点。軽量すぎて、水を入れたペットボトルを何本もウェイトとして使うのも、運用面では面倒でした。
あと、出入口が狭いので大人は出入りがとてもきつい。その出入口がまるで「カメ」のようで可愛いんだけどね。
(カメの目は、遮光生地で隠せる窓になっています)

これが、創業したての頃に私が購入した最初のエアドームです。とにかく高価だったので、かなり無理をしてなんとか小型の3mタイプを購入しました。以来10年以上、全国各地の出張上映で活躍しましたが、破損や汚損が激しくなり、現在は運用を終えています。

太陽工業星たまご3mエアドーム
太陽工業製の星たまご3mエアドーム

Digitalis社製

http://www.digitaliseducation.com/domes
米国Digitalis社のエアドーム。私が最も多く、そして長く使ってきた製品です。送風チューブが太くて比較的短時間で膨らむのはすごく運用しやすいし、特許にもなっている潰れにくい仕様(形状維持用のファイバーポールを出入口に組み込める)も素晴らしい。全体的に品質も良く、ファブリック生地は耐久性もあって多少ラフに扱っても大丈夫です。
ただ、出入口のファスナー部などは熱融着されているので、長く使っていると剥がれてきます。これを補修するのが結構大変なので、できれば縫製にして欲しいところです。
あと、(特に大きなサイズになると)かなり重いのがデメリットかな。現在運用している7mタイプ(関連会社保有)は50kgほどあるので、1人での運搬や設置撤収はかなり大変です。

Digitalis4mエアドーム
DIgitalis社製の4mエアドーム
Digitalis製7mエアドーム
Digitalis社製の7mエアドーム

MMI社製

http://www.mmi-marketing.com/planetariums/planetarium-domes/
自分で保有したことはありませんが、関連会社が導入した6mタイプを何年間か使っていました。
Digitalis社とほぼ同じ形状や仕様で扱いも一緒、使いやすい製品だったのですが、最近では下記のEmerald社製の製品を扱うことになったようですね。もう入手できない貴重な旧MMI社製でしたが、現在は他社に売却されています。

MMI社製旧6mエアドーム
MMI社製の旧6mエアドーム

Emerald社製

https://emerald-planetariums.com/planetarium-screens/portable.html
上記のMMI社が最近扱うようになった製品です。入り口にドアのような造作があります。また、外周にリングがついていて、安定して自立するようになっています。通販等で買える中国産の安価なタイプは、この形状を真似て作られているものが多いようです。

ただ、この製品は正直かなり使いにくいという印象が強いです。あくまで主観ですが、理由は以下の通り。

  • 送風チューブが細く、膨らむまでに相当な時間がかかる。
  • 出入口のドアをこじ開けて入るのがとても難儀する。ファスナー方式の方が断然出入りしやすい。
  • 全体的に品質が良くない(生地の接合部など)

某所へ実際に5mタイプを納品して問題なく稼働しているので、慣れの問題かもしれません。でも、なぜかこの形状、私は好きになれないんだよなあ・・・

Emerald社製5mエアドーム
Emerald社製の5mエアドーム

Go-Dome社製

https://www.go-dome.com/
Digitalis社製や旧MMI社製とほぼ同じ形状のNoviceDome6mタイプを現在も運用しています。Emerald社製の出入口付きタイプやリング付きタイプより、個人的にはやはりファスナー開閉のシンプルな半球形状が一番扱いやすいと思います。
ただ、その出入口の造作が甘いと、光漏れや破損の原因になります。こちらの製品はあまり出入口部分の強度がなく、結構な光漏れが起きたりするので注意して上映しています。

あと、こちらの製品は送風チューブが細めで大風量の送風機(工場扇)が使えませんので、軸流ファンタイプの送風機を用意する必要があります。あとこの会社、メールなどのレスポンスが極めて悪かった(苦笑)いまは改善されてるかな?

GoDome社製6mエアドーム
GoDome社製の6mエアドーム

その他

他にも、私が運用したことのないエアドームが結構あります。その多くは特注の一品ものや自作もの。実際にそれが使われているイベントの現場にも多く足を運んで視察したり使い勝手を聞いてみたりしてきました。

それぞれに特徴がありましたが、生地が弱くてすぐに破れてしまったり、静電気がものすごくてドーム内で髪の毛や服がバチバチ言ってたり、重いウェイトをたくさん使って固定する必要があったりで、「これは完璧!」というものには残念ながら出会うことができませんでした。同業の皆さん、やはりエアドームの選定や運用には苦労されているようです。入手先がほぼ海外というのも困る点でしょう。

そしてソラドーム(オリジナル企画開発のエアドーム)

ソラドームは、上記のいろいろなエアドームの良いところ、使いにくいところなどをできるだけ反映させて設計しました。
これまで使ってきた、あるいは見てきたどんなエアドームより、自分も納得できる製品を目指しています。軽くて丈夫、何より大事な国産で国内防炎という安全性能と品質、メンテナンスやクリーニングのメーカーサービス、そして割と安価な価格設定さらに、たくさんの使いやすい(痒いところに手の届いた)機能を盛り込んだ仕様などなど。
これからも実際に運用を重ねながら、どんどん改良してより安全で扱いやすいものにしていければと考えています。

ソラドームの紹介はこちらの記事をご覧ください。

ソラドーム4mタイプ
ソラドーム6mタイプ
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